前編へもどる▶【美容×短歌】つやめく5・7・5・7・7「つやめき短歌」(前編)
城崎 薬局に貼ってあるPOPやキャッチコピーの雰囲気が出ています。
野口 ひらがなのやわらかな感じとくちびるの肉感がうまくマッチした一首。「一気に色気」と漢字にする案もありましたが、もぞもぞとくちびるが蠢くようなひらがな表記に惹かれます。
野口 非日常設定のある歌で目立ちました。アイデアが素晴らしいので、さらに広がるよう、もし改作可能なら友のくちびるはもう緑色になっているところから始めてもいいかもよ。
尾崎 「君の唇が全ての出来事を思い出と言う」まではそういうタイプの歌だなと思ったんですけど、「タイプの死亡」という最後の結句に持っていかれた感があります。ポップというか、現代的な感じだなと思いました。
野口 相手を詠んだ歌。やや言葉足らずな言葉遣いが、逆に臨場感を出しています。これはなめらかな韻律でやったら台無しで、「死亡」というざっくり感がいいです。詩は細やかにやれば生まれるというものでもないね。
ERICA 美しいですね。噛み切っている唇は痛々しいのに、ラベンダーティーと癒し系のものが触れるというか痛さと優しさが混在する歌だなと。
野口 題詠感のない自然な仕上がり。このまま連作に溶け込めそうな感じは、自身とモチーフの距離が自然に取れた証でしょう。ラベンダーというちょっとクールさも感じるお茶のセレクトが巧み。
野口 目の前でパッパッと花が咲いて散る華やかな錯覚を覚えました。コマーシャルからの影響もあるのかな? 人によっては屈折のなさを短所にあげるかもしれませんが、ドラマのワンシーンのような華麗な仕上がりです。
野口 激しめの歌。艶めく君のものとはイコールあなたの専属のくちびるになりたい、ということでしょうか。かわいい言葉の裏のドスドスと突くような強気感が大変シンパシーを感じました。笑
野口 相手のすこしひらいたくちびるの隙間を見ている歌でしょうか。踏み込めなさが感じられて切ない。いいシーンなので「ハタチのゆうべ」という一般的な言い方がもったいない。ぜひもう一歩踏み込んでみてください。
野口 キス魔をとれないシールに例えるところがチャーミングですね。ラブラブ感がすごい。ただ、ちょっとつめこみすぎた印象。この1首の情報量で3首くらい作るのがちょうどいいのかもしれません。
野口 おばあちゃん子として大変惹かれた歌。自分の名前は覚えていてくれないおばあちゃんがまだ女は忘れていないことへの、複雑な安堵感を感じます。人間関係のとても微妙なところを切り取りましたね。
野口 大変なまなましい感じ。くちびるのもつ女っぽさ、肉っぽさをネガティブから捉えた不思議な歌でもあります。ただ下句はややかたい表現かなと。もうすこしくずした言葉にして女同士の微妙な関係性を描いてもいいかと。
野口 「ほんたいをおきざりにおんなだ」という歯切れ良いリズムがいいですね。自身の大胆さと臆病さに二重に傷ついているような不思議な主体像を感じます。歯切れが良いあまりちょっと一本調子な感じもしますが、本人の方向性にもよるでしょう。ご一考を。
俳句が男性文学なら短歌は女性文学だ、とよく言われます。
確かに5・7・5でワンシーンを切り取ることが多い俳句と比べ、そこに短歌の7・7という思いがつけられるのは、人との共感や場の情感を大切にする女性に向いているのかもしれません。
そして古代から今まで、歌人の中でも特に女性は、自分の出会った人や、自分の体を意欲的に詠んできました。
思い通りにならないことにときに嫌になりながらも、できれば健やかにつややかに付き合っていきたい体と心。
皆さんが体と心に丁寧に触りながら、どうか5・7・5・7・7に触ってくれますように。
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