そもそもなぜ汗をかくのか

汗をかくのは通常、運動をしたときや気温が高い時など、一時的に上昇してしまった体温を下げることが目的です。これは身体に元々備わっている体温調節機能であり、汗をかくこと自体はごくごく自然なことなのです。
汗っかきな人は、体温の上昇に対する汗の放出量が通常の人よりも多いということにすぎないため、特に心配はありません。
ただし、体温上昇を伴わないのに大量の発汗があるなど、日常生活に支障をきたしている場合は、多汗症という病気の可能性もあります。気になるようでしたら専門医に相談してみることをおすすめします。多汗症注射などの簡単な治療で発汗を抑えることができます。

汗っかきだから体臭がきつくなるとは限らない

汗を分泌する汗腺にはワキの下や陰部、耳の中、肛門、乳輪など限られた部位に存在するアポクリン腺と、全身に存在し主に体温を調節する役割を担うエクリン腺の二種類があり、それぞれから分泌される汗の成分にも大きな違いがあります。

先ほど説明したように、汗っかきの原因は体温の上昇に伴なう温度調節がほとんどであるため、その汗はエクリン腺から出るものがほとんど。
したがって、ただ汗の量が多いだけであれば、ほぼ水分の汗しか出ないので臭いの原因になることはほとんどありません。

汗っかきが汗臭くなる場合とは

考えられるのが、ワキガを併発している場合です。
汗っかきの方が出す汗は基本的にエクリン腺から出る無臭の汗なのですが、ワキガ体質の場合はこれが蒸発するときにアポクリン腺から出る粘り気のある汗も一緒に拡散させてしまうため、臭いを強く感じやすくなることがあります。
ストレス等がないにも関わらず、また季節に関係なく粘り気のある汗をかいている場合は専門医に相談の上、照射治療や手術による完全摘出法なども検討してみてはいかがでしょうか。

汗のニオイを抑えるための方法

汗の臭いを抑える方法は色々あります。多汗症やワキガなどの場合はそちらの治療を優先的に行うのが望ましいですが、ただ汗っかきなだけの場合でも下記のような方法で臭いを抑えることができます。

適度な運動

汗腺は血液をろ過して汗を作りだしています。運動不足で汗腺の働きが鈍ってしまうと、ろ過が十分できないまま汗を放出してしまいます。そういった汗は、ミネラル分などの臭いの原因となる雑菌が繁殖しやすくなるのです。そのため、適度に運動をすることが臭い対策としても有効です。

かいた汗をそのまま放置しない

汗をかいた部分は湿気も多い環境のため、雑菌が繁殖しやすくなります。
なるべくかいた汗は拭きとるよう心掛けてください。

食事内容を和食に

現代人が好む肉中心の食事やファストフードは汗の臭いを強くすることが知られています。
魚を中心とした和食を心がけてみてください。

ここまで紹介してきたことからも、単純に「汗っかきだから体臭がきつくなる」わけではないことがわかっていただけたかと思います。
それでも「汗っかき＝汗臭い」と誤解されるのは、食生活や生活習慣をはじめ、単純に汗をかいたあとそのままにしておいたから、ということがその原因なのです。
汗っかきなだけであれば、対処法にさえ気をつければ臭いと無縁の生活を送ることも十分可能ですので、どうかあまり心配しすぎないでくださいね。

（サクマユウナ）

執筆者：alluxe編集部