親知らずはなぜ生えてくるのか

通常成人の歯（永久歯）は親知らずを含め、上下各16本づつ全部で32本。親知らずは20歳前後を境に一番奥に生えてくる永久歯で、第3大臼歯や智歯と呼ばれます（上図参照）。もちろん上下のどちらかしか生えない人、全く生えない人もいます。
親知らずがなぜ生えるのかというと、そもそも古代の人間は木の実や生肉など硬いものを食べる食生活をしていたため、アゴの骨がよく発達していて、親知らずが生えるスペースも充分にあったからとされています。現在は、柔らかいものを食べることが増えアゴの骨の発達も乏しくなっています。そのため、親知らずが生えるスペースがなくなり、親知らずが正常に真っ直ぐ生えなくなるケースが増えてきたのです。

抜いた方がいいのはどんな親知らず？

先述のとおり現代人のアゴの骨のつくりでは親知らずは口内トラブルの元になるケースがあります。上下の親知らずが真っ直ぐ生え揃っていて、噛み合わせやブラッシングに問題がなければ抜く必要はありません。もちろん、アゴの骨の中に埋まっていて生えておらず、痛みが無い場合も同様です。しかし、下記の生え方をしている人は早めに検診を受けて処置を検討する必要があります。

■斜めや横に生えてしまっている
生えるスペースが狭いせいで真っ直ぐ親知らずが生えない場合、充分なブラッシングは困難です。そのままにしておくと虫歯や歯周病の原因になります。

■上下どちらかの親知らずしか生えていない
上だけもしくは下だけ親知らずが生えている場合、そのまま歯が伸びてしまい生えていない側の歯茎を傷つける恐れがあります。

■他の歯や歯並びに支障をきたす
真っ直ぐ生えていない親知らずのブラッシングは難しいですが、その隣の歯もブラッシングは困難です。せっかく健康な歯でも親知らずのせいで、虫歯や歯周病の脅威にさらされます。また親知らずがあると、歯列矯正や他の歯のインプラント治療の際、歯並びや噛み合わせに不具合を起こすことがあります。

親知らずを抜くか抜かないかは、生え方や口内の状態で決まります。真っ直ぐ生えていても、奥の方はブラッシングが難しいので虫歯や歯周病になりやすい歯でもあります。いずれの場合も歯科医院で検診を受け、自身の親知らずがどんな状態か把握しておきましょう。

（安田 みゆき）

執筆者：alluxe編集部