はじまりは「聞こえにくい」ぐらいのことから

朝起きて、テレビをつけてもなぜか違和感が。音がこもったように聞こえにくいのです。
ちょうど花粉症の季節だったので頻繁に鼻をかんでいて、そのたびに耳まで「ビーっ」となってしまうことも。以前もそれで聞こえにくくなり、耳鼻科に行くと「中耳炎ですね」と言われ、またそんな感じかな？と思っていました。

念のためすぐに耳鼻科へ。「いつ頃から聞こえにくいですか？」などの問診の後、先生が音叉を取り出し「これは聞こえますか？」と左右の耳元へ。右の耳元は「？」となり、左は聞こえる。それを伝えると先生の顔色が変わり、すぐに電話ボックスのような小さな部屋で聴音検査。
なにがなんだかわからないまま「突発性難聴になりかけてる。お薬出しますので、また明日来てください。」と言われます。先生の話を聞いているとくらぁっとめまいが。先生いわく「突発性難聴はめまいも伴いますからね」と。

となりの薬局に行くのもままならないくらいに目がまわり、やっとの思いで自宅に帰る。すぐに薬をのんで寝床へ直行するも、天井がぐるぐるして吐き気が…。耳鳴りもしてきた。どうなっちゃうのだろうと不安でいっぱいです。

人生初の入院へ！

そして翌日。また耳鼻科で検査をするも、あまり改善されていないとのこと。「紹介状を書きますので、入院を視野に入れて○○病院（かなり大きな病院）へ行ってください。」と言われ、「そんなにひどいの！？」と呆然…。

大きな病院では診察もそこそこに、すぐ入院ということになりました。治療は安静に過ごし飲み薬と点滴、そして毎日の検査。5日過ぎて経過が良ければ退院、良くなければ10日だそう。

突発性難聴は発症してから1週間以内に治療しないと治らなくなる、とっても怖いものです。理想を言うと48時間以内の治療が勝負だそうで、私はなんとかその日に病院に行けたので結果的によかったのかもしれません。

治療法

点滴は内耳の炎症を抑え、内耳の血流を良くするステロイドを使います。飲み薬はステロイドやめまいを改善する薬、ビタミンB12などたくさん処方されます。最初は吐き気のために食欲もわかず、胃もむかむかしていましたが、めまいは少しずつ改善。それでも5日目の検査ではまだ聞こえは治らず、がっかりでした。
そこで「絶対に治すぞ！」と決意し、毎日点滴と飲み薬を続けていたら、ほとんど聞こえなかった右耳も少しずつ聞こえてきました。シャワー後にドライヤーを使っていて、右耳に風が当たった時「ブオー」と音が聞こえた時の感動は忘れられません。

10日目に晴れて退院となりましたが、その時は完治せず、半年くらいは通院で飲み薬を続け、先生の「ここまで回復したので終了にしましょう」の声で治療は終わりました。いまでも若干の聞こえにくさと詰まった感じ、耳鳴りはあります。

もしかして聞こえにくい？と思ったら、なにはともあれ病院へ！！

自分がかかる前は「大きな音を聞くミュージシャンがなる病気」と思っていましたが、周りにも結構「実は私も…」という人がいることに気付きました。でもあまり治療法が知られてないがために、治療を後回しにして本当に聞こえなくなってしまった人もいるようです。また、悪化するとめまいがひどくなるメニエール病に移行する人も。
突発性難聴の原因はまだ詳しく解明されていないそうです。『ストレスが原因』という話も聞きます。あまり無理をしないのが唯一の予防法なのかもしれません。

ただ一つ言えるのは、ちょっとでも「聞こえが悪いな」と思ったら、すぐに病院に行くことです。もしそれで何事もなければ、そのまま日常生活が送れます。全く聞こえなくなってからではおそい！ 仕事が忙しいとか、外せない用事があるとか、いろんな事情があると思いますが、それをさしおいてでも治療してください。

このことが少しでも広まってくれるといいと願っています。

（佐藤マキコ）

執筆者：alluxe編集部