腸の健康とバランスを育む食生活
編集 前回は「腸内環境は変えられない」という衝撃的なお話がありました。わたしもそうなんですが、世の中には便秘で苦しんでいる女性がとても多い。もしかして人類の腸のパワーはだんだん落ちてきているのでしょうか?
そうかもしれませんね。
現代はなんでも除菌してしまう風潮になってきていますが、そのせいで耐性が弱い子が増えていると言われています。
人間にとっては、様々な菌をある程度取りこんでいくことも必要で、それぞれのバランスが整うことで、健康になれる。
離乳期以降になると「腸内細菌叢(ちょうないさいきんそう)」はもう変わらない。
腸内細菌叢というのは前回「腸内フローラ」として触れた腸内の細菌によるいわば生態系のことです。
「善玉菌」と呼ばれる乳酸菌、これは食べ物の消化や吸収を助けてくれるもので、反対にウェルシュ菌に代表される「悪玉菌」は消化不良や便秘の原因になって臭い匂いを出したりします。
善玉菌を優位にする腸内細菌のバランスが非常に重要なんですね。
かといって、悪玉菌にもタンパク質を分解するなどの役割はあるので、まったく無いと大変なことになってしまうのですけど。
編集 バランス……生後すぐに整う腸内環境がその人にとってベストということなんでしょうか。離乳期には腸内フローラはできあがってしまうということでしたよね? 優れた腸内環境ができあがってる人が心底うらやましい、ねたましい……。
どんなに善玉菌優位の年齢とともにバランスの乱れが出てしまうこともあるんですよ。一方で、腸内フローラが偏っている方でも食べ物によって少なからず善玉菌の働きを優位にしてあげることができます。だから消化にいいものを食べることは誰にとっても大切になってきますね。
編集 安永先生から聞いた通り、この前から納豆はたくさん食べてます。それと発酵食品ではチーズが大好きなので毎日のようにいただいてますし、ヨーグルトも意識的に摂るようにしてます!
植物性の乳酸菌はとてもいい。納豆とかは積極的に取るといいですよ。でも、実はわたしはヨーグルトやチーズといった乳製品は、あまりおすすめしていなくて。
編集 えっ!?
動物性のタンパク質なので、消化に負担がかかりやすいのです。
アミノ酸にまで分解するまで時間がかかり、体内酵素を沢山使ってしまう。未消化のまま腸内にとどまってしまうこともあります。そうなって腸内で腐敗してしまうと、消化不良になって悪臭の元となる悪玉菌が増えてしまいます。
ヨーグルトから菌を摂るにしても、少ないとあまり意味がない。
それよりも植物性の乳酸菌の方が消化吸収しやすく、発酵する際の有用菌がとても多いのでより体にとって働きやすいと思います。
菌を腸に届けても、固有の腸内フローラに定住させることはできませんし、ほとんど死滅してしまいます。
でも、死滅菌も実は体に良い。
菌体成分は死んでいようが生きていようが関係なく、摂ってあげると様々な効果を含んだ「乳酸菌生成物質」を作ると言われています。これが腸の健康とバランスにとって、ものすごく重要なのです。
編集 虎は死して皮を留め、菌は死して乳酸菌生成物質を残すってわけですね! なんだか泣かせるや……。
ところで、先ほど少しだけ酵素の話が出ましたが、安永さんは酵素の摂取と短期間の断食を組み合わせた「ファスティング」も推奨されてます。こちらについてもお話を聞きたいのですが。
体内酵素というのはDNAによって決められていまして、一日に使える量が決まっているので、それを消化に使うか、代謝に使うかで健康面に大きく関わってきます。ここでファスティングが登場するんですが、この話もたいへんおもしろいので、こちらはまた次回にじっくり解説しましょう。
(次回もお楽しみに)
安永 里絵 Rie Yasunaga
ファスティングサロン エステプロ・ラボ AOYAMA
esthepro-labo-aoyama.com
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