多汗症注射の薬剤の主成分は、毒性のあるボツリヌス菌から抽出されたたんぱく質の一種です。顔面麻痺の治療や、シワをなくすためのプチ整形にも使用されます。
多汗症注射をワキに注入すると一時的に筋肉麻痺を起こさせます。そして神経伝達物質であるアセチルコリンの分泌を抑えて、「汗を出しなさい」という命令をストップさせる事ができます。匂いはさほど気にならないけど、暑い夏や緊張した時になど異常に汗をかいてしまうという人に向いている治療です。
一部で安全性についての議論もありますが、多汗症の治療には安全が確認されたものを一定量使用するので問題ありません。厚生労働省承認のアラガン社製ボツリヌス注入薬を使用する美容クリニックが多くなっています。ただし、もう少し価格が抑えられた韓国製のボツリヌストキシン「REGENOX」を希望者に提供するクリニックもあります。「REGENOX」は抗体ができにくいということから、あえて選んで使用しているドクターもいます。
【多汗症注射のメリット】
メリットとしては、切開する治療よりも比較的安価で受けられ、施術時間も片方で10分程度と短いことがあげられます。痛みも少ないので同時に両ワキを治療することができます。
また、注射するだけなので、傷が残りません。注射したところにだけ効果を出します。そして当日から普段と同じ生活ができます。患部を濡らさなければ、シャワーを浴びることも可能です。
【多汗症注射のデメリット】
多汗症注射は受けると効果が一生続くわけではありません。効果はおよそ半年と言われています。また、効果には個人差があるので、すべての人に劇的に効くという保障はないそうです。そして、定期的に受けなければならない事から、トータルで見るとかなりの金額がかかってしまう恐れもあります。
このように多汗症の人に適している多汗症注射ですが、アセチルコリン抑制に効果がある一方、ワキガの原因となるアポクリン腺には働きかけません。ですから直接的にはワキガ治療の効果はありません。ただし、汗が出なくなることによって匂いを軽減することはできます。
そして多汗症注射の大きな点は、精神的発汗を減らすことができるところです。ワキガや多汗症の人は緊張して汗をかくことが多く、それがまた「匂うのでは?」という不安からまた汗が…というループに陥ることが。その心配がなくなるだけで精神的ストレスが減り、半年から1年たったとしても汗をかかなくなる人もいるそうです。
多汗症注射のメリット・デメリットを踏まえたうえで、様々な美容クリニックを検討して、自分にあったドクターと治療法をみつけてみてください。