ADM(後天性真皮メラノサイトーシス)とは
かつては遅発性太田母斑とも呼ばれていたもので、肌の表皮層に生じる通常のシミ(老人性色素斑)とは異なり、肌の奥深くにある真皮層に溜まったメラニン色素によって生じる色素沈着のことを言います。
厳密にはシミではなくアザとして分類されるものの、他のシミと一緒に存在することも多く、見た目もシミとそれほど変わらないことから、シミの一種とみなされる場合もあります。名前は仰々しいのですが、実際は程度の差こそあれ、20歳から30歳以上の年齢であればほとんどの女性の顔に存在するとされる一般的なものなんです。
一般的なシミ対策が効かないわけ
シミと同じくその正体はメラニン色素でありながら、一般的なシミ対策があまり効かないのは、表皮と真皮でターンオーバー周期が大きく異なることに理由があります。
表皮はだいたい28日周期ですが、真皮の場合なんとその周期は5~6年とされており、ターンオーバーを促すシミ治療で効果を出すことは実質困難と言えます。
シミとの見分け方
見分けるポイントは色味の違いにあります。実はメラニン色素が存在する深さで色味が変わるからです。表皮に近いものから順に褐色→灰色→青色へと変化していきます。肌の深層にメラニン色素が存在するADMの場合、灰色や青みを帯びた褐色であることが多いです。
原因は?
まだまだ議論されているものの、主に遺伝や加齢、紫外線、ホルモンバランスの崩れなどによって、メラニン色素が真皮層に溜まってしまうことが有力とされています。
治療法は?
ターンオーバーで排出することが困難なADMに対する有効な治療法は、直接メラニン色素を破壊できるレーザー治療となります。
一般にパルス幅と呼ばれるレーザー光の照射時間が短いほど、エネルギーが強くなり、より深くまでエネルギーを届けることができるため、パルス幅の短いレーザーが用いられます。
Qスイッチ・ルビーレーザー/Qスイッチ・アレキサンドライトレーザー
パルス幅が(10億分の1秒)単位以下のもので、シミ治療の他に刺青除去にも用いられている最もメジャーなレーザーで、多くのクリニックに設置されています。
照射後にかさぶたが生じ、取れるまでに10日かかる、いわゆる「戻りシミ」が生じるなどダウンタイムが生じるものの、1~3回程度で確実に取ることができたり、保険適応で治療を受けられる場合もあるなどメリットも多いです。
ピコレーザー
パルス幅が(1兆分の1秒)のレーザーであり、かさぶたや戻りシミのリスクがなく、より肌に優しく治療することができます。Qスイッチ・ルビーレーザー/Qスイッチ・アレキサンドライトレーザー同様、1回の照射で効果を実感できますが、導入されているクリニックも少なく、保険適応もないため費用が高くなるデメリットもあります。
これまで見てきたようにADM(後天性真皮メラノサイトーシス)は、遺伝や加齢などの避けられない要素もあり、なかなか予防するのが難しいです。
しかし、ありとあらゆるお肌トラブルの原因となる紫外線は、当然ADMにも絡んできます。紫外線対策はしっかりと心がけることが、結果的にADM予防の最善策と言えるのかもしれません。
とはいえ、予防は難しくとも治療法は確立しています。
このシミなかなか消えないなーって思ったら、是非クリニックの専門医に相談してみることをおすすめします。
(サクマユウナ)
執筆者:alluxe編集部