ヒルドイドってどんな薬？

ヒルドイドはクリームやソフト軟膏、ローション、ゲルの4種類が発売されており、皮脂欠乏症やアトピー性皮膚炎の治療に使われます。有効成分はヘパリン類似物質。人の体内にあるへパリンという物質と似た成分で構成されていて「保湿」「血行促進」「抗炎症作用」の働きをします。
若いうちは皮膚の油分はが十分足りているのですが、年齢を重ねると足りなくなり、肌の乾燥が進んで老人性乾皮症になる人が増えていきます。
ヒルドイドは肌の内側から新陳代謝を促してくれるので、乾燥して荒れた肌を根本的に修復する効果があります。

ヒルドイドを求める女性が大勢皮膚科に

ヒルドイド自体はずっと以前から治療に使われてきた薬品ですが、最近皮膚科に「ヒルドイドだけを処方してほしい」と訪れる人が増えていて、皮膚科のドクターが問題視しているというのです。
本来なら、ドクターがその患者さんを診察して、ヒルドイドが最適だと判断した場合のみ処方されます。皮脂欠乏症やアトピー性皮膚炎の治療に使う場合、ほかの外用薬や抗ヒスタミン薬と併用する事が一般的なのですが、ヒルドイドを指定してくる人、しかも20代～50代と幅広い年齢の女性が増えてきている。

口コミで評判に？

その原因は、ネットや美容紙などで「ヒルドイドは美容に効果がある」と謳っていたからだったのです。
ネットで「ヒルドイド」と入力するとさまざまな評判が出てきます。「シワがなくなる」「乳液の代わりに顔に塗るとすべすべに」「高級乳液より効果的」などなど。安価で効果が高いということで多くの人が飛びついていたのです。
でもちょっと待ってください。これは間違った使用法です。ヒルドイドは薬なので副作用もあります。化粧品と同じ感覚で使うとかぶれたり、肌荒れが悪化したりということもあるのです。

ヒルドイドを製造販売しているマルホ株式会社のサイトに「顔面に使用し赤くなるケースもある」との記述があります。また「色素沈着やシミに対して有効性を検討したデータや報告はありません」と書いてあります。

ほかにも弊害が

美容目的で使用する人が増えたことによって、本当に必要なアトピー性皮膚炎の患者さんがヒルドイドを保険適用で使えなくなってしまうかもしれません。
先日、「ヒルドイドの美容目的での使用が医療費の増大を招いている」という話題がニュースになりました。健康保険組合連合会が「今後、ヒルドイド単独で処方を受ける患者は保険の対象から外すべき」という提言をまとめたのだそうです。

美意識が高く見た目が美しくなっても、不正に手に入れた美しさではがっかりですよね。
せっかくの良い薬を本当に必要な人が使えなくならないよう、ルールを守って使用していきたいものです。

（佐藤マキコ）

執筆者：alluxe編集部