ビタミンとは
日本ビタミン学界と公益社団法人ビタミン・バイオファクター協会によると、「微量で体内の代謝に重要な働きをしているにもかかわらず、自分で作ることができない化合物」と定義される物質です。
ビタミンは、水に溶ける「水溶性ビタミン」と水に溶けにくく油(脂)に溶けやすい「脂溶性ビタミン」に大別されます。現在、13種類の化合物がビタミンと呼ばれていますが、中には例外的に腸内細菌などによって生成できるものもあります。
最初の発見の際に、『生命に必要な(vital)アミン』という意味からビタミンと命名されています。
水溶性ビタミン
水に溶ける性質を持つビタミンのことです。もし多量に摂取したとしても、過剰になった分は速やかに尿中に排泄されるため、大きな害はみられません。
ビタミンB1
特徴
化学名はチアミン。
生体活動に必要なエネルギーを生み出す際(特に糖質代謝)に大切な役割を果たす物質です。
酵母や豚肉、胚芽(米ぬかやふすま等)、豆類、ソバ、全穀パン、ウナギかば焼きなどに含まれており、特に豚肉の含有量が多いことが知られています。
欠乏すると、脚気やアルコール摂取が多い人に多発しやすいウエルニッケーコルサコフ症候群などになる可能性があります。
ビタミンB2
特徴
化学名はリボフラビン。
動物の成長に不可欠な耐熱性の成長促進因子として発見された物質です。
皮膚や粘膜の保護、細胞の再生や成長に関与しており、欠乏すると舌炎、口角炎、口唇炎、口内炎、脂漏性皮膚炎、眼精疲労、成長障害などが起こる可能性があります。
肝臓や胚芽、豆類、卵黄、牛乳、緑色野菜などの食品に多く含まれ、腸内細菌によっても合成されるため欠乏症は起こりにくいとされています。
ビタミンB6
特徴
生体内ではアミノ酸(タンパク質)の代謝や脂肪のエネルギー変換、神経伝達に使われる物質で、ピリドキシンやピリドキサール、ピリドキサミンを総称してビタミンB6と呼んでいます。
欠乏すると痙攣やてんかん発作、貧血などの症状を生じる可能性がありますが、ほとんどの食品に含まれるため、ビタミンB2同様欠乏にはなりにくいとされています。
ビタミンB12
特徴
化学名はコバラミン。
抗悪性貧血因子として発見された物質で、完全型と不完全型の種々のビタミンB12類縁体が存在しています。
主にタンパク質の合成に関与しており、欠乏すると貧血を引き起こすことがあります。
海苔や魚介類、動物性食品の肝に多く、肉類や生卵、牛乳などにも含まれています。
微生物によってしか生成できないため、海苔などの一部を除いて植物性食品にはほとんど含まれません。
ビタミンC
特徴
化学名はアスコルビン酸。
柑橘類や緑黄色野菜に多く含まれており、その昔、船乗りに恐れられた壊血病に抗うことが名前の由来とされています。
ビタミンCには高い還元力があり、現在は壊血病の予防というよりは、鉄分、カルシウムなどミネラルの吸収促進や心臓血管系疾病の予防、美容面でも有用な抗酸化作用を期待して摂取されることが多いです。
欠乏すると全身倦怠、疲労感、関節痛、身体各部からの出血をもたらす壊血病の可能性があります。
人間の体内では生成できないため、食事から摂る必要がありますが、加熱に弱いため少し注意が必要です。
葉酸
特徴
化学名はプテロイルグルタミン酸。
ホウレンソウの中に含まれる乳酸菌の生育因子として発見された物質で、赤血球の合成や動脈硬化の予防に関わるなど細胞の分裂やその機能を正常に保つ重要な役割を担っています。
レバーや緑黄色野菜、果物などに多く含まれており、普段の食生活で不足することはあまりありませんが、欠乏すると貧血や神経障害、腸機能障害となって現れます。
特に妊娠や授乳でその葉酸の消費が多くなっている場合には注意が必要です。
ナイアシン
特徴
ニコチン酸とニコチン酸アミドを総称したもの。糖質・脂質・タンパク質の代謝に不可欠な存在で別名ビタミンB3とも言われます。
皮膚の新陳代謝や遺伝子の修復に関与しており、欠乏すると、皮膚炎、口内炎、神経炎や下痢などの症状が生じることがあります。
カツオ、サバ、ブリ、イワシ、レバー、鶏ささみ、マグロ、シラス干し、たらこ、豆類、コーヒーなどに多く含まれています。
ビオチン
特徴
酵母の成長を促進する「ビオス」を構成する物質で、脂肪や糖質、タンパク質の代謝に関わることから、健やかな皮膚や髪を保つためにも重要なビタミンです。
多くの食品(特に酵母、レバー、豆類、卵黄など)に含まれているほか、腸内細菌によっても生成できるため、一般に欠乏症にはなりにくいとされていますが、欠乏してしまうと体重の減少に伴って口唇炎や脂漏性皮膚炎などが生じることがあります。
パントテン酸
特徴
特徴糖代謝や脂肪酸代謝において重要な反応に関わる物質で、「至るところに存在する酸」という意味で名づけられました。
食品中に広く存在するため、通常の食生活を送っていれば不足になることはあまりありません。
脂溶性ビタミンについて解説した後編の記事→知ってるようで知らない、ビタミンの種類とその働き【後編】
(サクマユウナ)
執筆者:alluxe編集部