ビタミンDとその働き

ビタミンDは骨の主原料となるカルシウムの濃度を調整することで骨を強くし健康を保つのに必要な栄養素で脂溶性ビタミンのひとつです。
現在はD2～D7の6種類存在することが知られていますが、このうちD4～D7は食物に含まれず体内での働きもほとんどないことから、一般的にビタミンDと呼ばれるのは植物由来のD2と動物由来のD3のことを指します。血中カルシウム濃度が高いときは尿と共に排出し、逆に濃度が低いときには小腸でのカルシウム吸収促進や、腎臓での再吸収促進などによって濃度を上昇させ、常に一定になるよう調整しています。

摂取方法

ビタミンDを摂取するには食べ物から摂取する方法と、日光を浴びて体内で生成する方法の二種類の方法があります。

食べ物から摂取

ビタミンDが含まれる食品には、魚類全般をはじめキクラゲや干しシイタケなどのきのこ類、卵黄があります。
脂溶性であるため、特にサケ、マグロ、サバなどの脂肪分の多い魚に豊富に含まれています。
魚や卵黄に含まれているのがビタミンD3、きのこに含まれているのがビタミンD2です。

日光を浴びて体内で生成

ビタミンD3は食べ物から摂取する以外にも、日光を浴びることでも生成することができます。
ビタミンD3の生成に関わっているのは、紫外線の中でも280～315nm程度の波長を持ち日焼けの原因にもなるUV-B。
このUV-Bは服やガラスを透過できないため、いつも屋内で過ごしたり、外出するときに必ず日焼け止めを塗る人は、意識的に食べ物からビタミンDを補充しないといつもビタミンD不足になってしまうおそれがあります。

ビタミンDのためにも日光は浴びた方がいいの？

日光はビタミンDの生成にとって確かに大切なものですが、ビタミンD自体を食べ物から摂取することも可能ですし、紫外線を浴びることによる肌老化を防いだり皮膚癌のリスクを上げないためにも、紫外線を遮る衣類などを着用し、日焼け止めや日傘を使う等のある程度の紫外線対策はしておいた方が賢明と言えます。

不足するとどうなるの？

ビタミンDを十分に食品から摂取していない、または極端に日光に当たることを防いでいる場合には、ビタミンDが欠乏するおそれがあります。
特に子供の場合はビタミンD欠乏は、骨が軟化し変形する「くる病」の要因になりますし、成人の場合は、骨粗鬆症や骨軟化症の原因となり骨の痛みや筋力の低下を起こすことがあります。

参考：ビタミンDの必要摂取量

※江崎グリコ株式会社　「日本人の食事摂取基準（2015年版）」より引用
※ビタミンDの推奨摂取量は、日光にほとんど当たっていない場合を仮定して設定されています。

過剰摂取しても大丈夫？

いくら体に必要なビタミンDとは言え、過剰摂取してしまうと有害になります。
よく見られる症状として吐き気、嘔吐、食欲不振、便秘、脱力感、体重減少などが挙げられます。また過剰なビタミンDは腎臓を損傷する怖れもありますので注意が必要です。
ただし、ビタミンDが毒性を持つのは、ほぼ例外なくサプリメントの過剰摂取したときであり、身体は自身が生成するビタミンD量を制限することができるため日光の浴びすぎによるビタミンD中毒はほとんど起こりませんのでご安心ください。