豊胸治療とは……
美容外科の治療の中でも昔から人気の豊胸治療。コストや、悩みに合わせてさまざまな治療法があります。美容医療のパイオニアと名高い小室先生に豊胸治療についてお話を伺いました。
胸を大きくしたいという女性の願いを叶える「豊胸治療」ですが、種類が豊富すぎてどの治療をしたらいいか悩みがちです。技術の進歩とともに最新治療もどんどん増えてきているようなのですが……
豊胸術には歴史があります。豊胸術の始めはシリコンやパラフィンをバックに入れずに直接乳房に注入する方法で行われていました。その後、シリコンジェルを入れたバックが登場しました。人工乳腺が盛んに使われていたのは今から30年ほど前になります。その頃から脂肪注入もありましたが、ほとんどが人工乳腺の割合が高かったです。
コムロ美容外科の豊胸術の割合の推移ですが、やはり人工乳腺が9割を占めていました。そこからヒアルロン酸が増えてきて割合が少なくなってはきましたが、当院のシリコンバックは10〜15年前くらいの時期だけで年間約1800人の手術をするほど人気でした。
シリコンに私の名前が付いている「コムロコヒーシブシリコン」は、米国の医療品メーカーと共同で日本人の体型にあった人工乳腺を開発したものになります。世界で名前が付いているのはコムロだけです。
※本年のコムロ美容外科の豊胸治療の割合は、人工乳腺0.5、脂肪注入6、
ヒアルロン酸1、アクアフィリング4。※バックの裏面にオリジナルの証である「KOMURO」のロゴが刻印。
※現在は、自然にボリュームアップする美しい流線型のオリジナルバックを使用。
コヒーシブシリコンは分子レベルでお互いに結合しているため、針を差しても中身が漏れることがありません。大変安全性が高いものになります。海外のドクターからも"高品質美"と賞賛され、現在も訪問される方や問合せがあとを絶ちません。治療の割合自体は少なくなってきてはいますが、思い切ったオペを希望される方にまだまだ需要があります。
現在は、注入剤としてヒアルロン酸に代わって昨年よりヒットし始めたアクアフィリング(米国産はアクアフィル)が評判になりました。ヒアルロン酸は粒子が大きいこともあって仕上がりが少し硬めですが、アクアフィリングは水分98%ポリアミド2%とほとんどが水で、はじめから柔らかく、持ちも5~6年。オペをしたくない方々に人気があります。
今一番多い豊胸治療は?
そして今一番人気のバストアップ法は、脂肪注入法です。もともと脂肪吸引で余った脂肪を入れたら同じ細胞だからアレルギー反応が出ないであろうと考えられた方法です。しかし以前の脂肪注入法では、一度取り出した脂肪組織は阻血状態に弱いため、血流の再開を迅速に行わなければ溶けてなくなるか、もしくは繊維性被膜を形成してしこりが生じていました。このしこり部分が炎症を起こして、さらに石灰化することもありました。よって10年前までは、脂肪の定着率(生着率)も10~20%ほどでしたのでほとんど人気はありませんでした。
そして新たに脂肪注入法の軸となったきっかけは、25年前に当院の非常勤医師として活躍していただいた久保田純一郎医学博士が開発したPRP(自己多血小板血漿)注入による再生医療がスタートしたことです。この再生医療を取り入れ、脂肪採取後に脂肪と脂肪幹細胞にPRP(自己多血小板血漿)を添加することにより、生着率を60~70%までに残すことができました。しかもしこりが少なくなったのも喜ばれています。ここで大事なことは、脂肪吸引の技術とセンスです。バストが大きくなっても脂肪を取った場所が凸凹では意味がありません。担当するドクターと十分に納得がいくまで相談してください。
時代とともに、豊胸術も進化しています。さまざまな治療法がありますが、バストは女性にとって大切な場所です。自分に合った自然な美しい仕上がりを追求し、疑問があればドクターへご相談ください。
手術を受けられる前のインフォームドコンセントは重要です。インフォームドコンセントとは、ドクターから患者様への説明が十分になされ、そして理解した上で手術に同意することです。つまり患者様とドクターの信頼関係が何より大切なのです。「こんなはずではなかった」などというケースが発生することは、コミュニケーション不足の要因のひとつです。納得できなければ、ご自分から手術をやめる勇気も必要ではないかと思います。
監修医のプロフィール
コムロ美容外科
小室 好一 総院長
コムロ ヨシカズ
1984年 昭和大学医学部卒業後、昭和大学藤が丘病院外科勤務
1991年 コムロ美容外科東京院開院
2005年 コムロ美容外科宮崎院開院
2008年 コムロ美容外科大分院開院
2013年 コムロ美容外科東京院を銀座に移転開院
医学博士/日本美容外科学会正会員/日本麻酔科学会正会員/日本超音波学会正会員
豊胸治療「注入法」の種類
成分を注入するバストアップ術。少量から注入できるため、細かいバストラインの調整も可能。主な注入箇所は、乳腺内・乳腺周辺・乳腺下・大胸筋内・大胸筋下の5カ所。
【フィラー注入】体に負担がかかりにくい成分を注入
ヒアルロン酸
形の微調整や垂れてしまったバストにハリを与えてくれます。持続期間は約2年。注射だけで手軽に受けられます。ヒアルロン酸は人体にもともとある成分のため、アレルギー反応が少ないと言われています。
アクアフィリング/アクアリフト
2%のポリアミドと98%の水の成分をバストに注入。ほぼ水でできているため、仕上がりは柔らかく、シコリになりづらい、手軽で安全性の高い豊胸治療です。持続期間は5~6年。徐々に、体内吸収&体外排出をして注入前の状態へ戻ります。
【自己組織注入】自分の脂肪を吸引して素材として注入
吸引箇所は、気になる背中・腕・腰・腹部・尻・太もも・ふくらはぎから
脂肪(ピュアグラフト/コンデンスリッチ)
自分の脂肪を吸引してバストに注入する方法。自分の脂肪細胞なのでアレルギー反応を起こすことはほぼありません。脂肪吸引を併せて行うのでメリハリボディになれて、長期的効果が見込めます。
幹細胞
(脂肪由来)幹細胞を用いた豊胸。吸引した脂肪から脂肪細胞と脂肪幹細胞を抽出し注入することで、脂肪注入法よりさらに定着率がアップします。しこり化を防ぎ、長期的にバストアップ効果が持続。
そのほかの豊胸治療
血液を使ったPPP注入法や、シリコンバック挿入法などがあります。