シミ治療における外用薬治療の立ち位置

シミにおける外用薬治療については、多くの美容クリニックでレーザー治療と併用して実施されていることが多いです。外用薬治療で用いられるハイドロキノンとトレチノインはどちらも強力な作用をもった薬剤であり、医師の判断の元で適切に使用する必要があります。

ハイドロキノン

特徴：

別名「肌の漂白剤」とも呼ばれるほど強い還元作用をもった成分ですが、実はイチゴやコーヒーなど身近な食べ物にも含まれています。
ハイドロキノンがシミに効果的と言われるのは、シミの原因となるメラニンの生成を阻害する作用と、メラニン色素を生成するメラノサイト自体を減少させる効果、そして、紫外線によって黒く濃くなってしまったメラニンの色を薄くする働きがあるからです。

なお、ハイドロキノンが効果を発揮するのは皮膚の表面にできてしまったものだけであり、肌の深層にまで達した色素沈着には効果が期待できませんのでご注意ください。
これまで日本国内では、その管理が難しいことから医師による処方の元でのみ使用することができる薬剤だったのですが、2001年に薬事法が規制緩和され、化粧品にも配合することができるようになりました。
ただし、化粧品に配合できる割合は1%～2％程度とされ、それ以上の濃度のものは医師による処方がなければ手に入りません。

副作用とその対策：

赤みや炎症
体質に合わない場合や劣化したハイドロキノンを使った場合に起こりやすいです。 ハイドロキノンには化学的安定性が悪いため劣化しやすいという欠点があり、その際にできるベンゾキノンという成分が肌へダメージを与え、赤みや炎症として症状に現れることがあります。 使用する際は、事前にパッチテストしたうえで使用するようにし、使用期限の過ぎたものは使わないようにすることが大切です。

シミの悪化
ハイドロキノンには紫外線が当たるとシミを濃くしてしまう怖れがあるため、紫外線対策は必須です。 目安としてSPF20以上の日焼け止めクリームなどを使って紫外線対策はしっかりとしましょう。

トレチノイン

特徴：

ビタミンA（レチノール）の誘導体であるトレチノインは、その強力なターンオーバー作用が最大の特徴です。
肌サイクルの乱れによって表皮に溜まってしまった古い角質を、表皮内にあるメラニン色素ごと皮膚の外へ排出することでシミを薄くしていきます。

肌の新陳代謝が活発になるため、ハイドロキノンと組み合わせることで、ハイドロキノン単独では難しかった深層にあるシミにも効果が期待できます。
また、トレチノインを長期間外用することで、「ヒアルロン酸やコラーゲンの生成が促進され、お肌にハリが出たり、小ジワも改善する」という嬉しい効果も知られています。

副作用とその対策：

皮膚への刺激
その強力なターンオーバー作用のため、皮膚の刺激が強く、乾燥やヒリヒリ感が続くことがあります。
使用の際は医師の適切なアドバイスに沿って使用することが望ましいです。

胎児への影響
体内の細胞の分裂に関係しているため、妊娠中、妊娠予定の人が過剰に使うと、胎児の発育に悪影響を与える恐れがあるため注意が必要です。