自分の血液でキレイになる
PRPとは、Platelet Rich Plasmaの略で、訳すと自己多血小板血漿療法。
なんと自分の血液から有効成分を取り出す治療法なのです。
近年の美容医療では比較的スタンダードなものなので、詳しい方ならご存知かもしれませんね。
(T-LAB社 HPより)
まず、採血。こういう専用のキットを使います。
(Arion Medical社 HPより)
遠心分離機にセットしてぐるぐる回すと、血液はこんなふうにカクテルのように3層に分離します!
中央の層にあるごく少量のオレンジ部分がPRP。
成長因子がたっぷり詰まった濃厚な生命力のスープです。
ちなみに上の黄色い部分はPPPといって、他の美容医療で使われることもあるのですが、今回は真ん中のPRPを注射で吸い上げて治療に使います。
PRPには、自分由来の成長因子が多数含まれています。
この液体をケガをした部分に注入すると治るのが通常よりも早くなる! ということで、ケガからの早期復帰が望まれるスポーツ選手などに多く利用されています。
例えば、肘靭帯の断裂を起こした野球の田中将大選手が、PRPの治療を、補助的にですが取り入れていました。
まだまだ研究中の治療ジャンルなのですが、関節炎の治療や歯科治療など、一般的な医療でも取り入れられています。
一方、美容医療では、主にナチュラルなエイジング対策として活用されています。
顔の中で加齢が目立つ場所に、いろいろな打ち方でPRPを注射します。
(Mycells社 HPより 日本語訳alluxe)
※リニアスレッディングテクニック……注射針を浅い角度で挿入して薬液を直線上に注入する方法。
PRPに含まれる成長因子は、体内のコラーゲンやヒアルロン酸の増加を促進する効果があります。
だから、目元、口元など良く動く場所に自然なハリを取り戻してふっくらさせて、小ジワを目立たなくすることができるのです!
PRPを受けたい人への注意点
自分の血を使うという心理的なハードルの低さ、またアレルギーの心配がほとんどないという点から、初めての美容医療はPRPでという人も多いと思います。
しかし、この際に注意すべきなのは、自分の血液を使うから安心安全、というのはあくまでイメージということ。
PRPは決して失敗のない治療法というわけではありません。
まず、腫れや内出血のこと。PRPはヒアルロン酸などに比べると腫れやすく、内出血の可能性も高いです。
施術後、落ち着いてくる一週間ぐらいは大切な用事は入れない方がいいかもしれません。
もうひとつは、「しこりを生じる」可能性、PRPを入れた部位がでこぼこしてしまうことがあるんです。
しこりができる原因はまだ完全に解明されたわけではありませんが、「注入量が多すぎる」あるいは「成長因子が多すぎる」ことが理由なのではないかといわれています。
適切な量を超えた成長因子によって、大量のコラーゲン繊維が生み出され、肉芽となって肌の中で凸凹になってしまうのです。
しかも、これはヒアルロン酸のように溶かして取ることもできない頑固なもの。
いくら大きな効果が欲しいからといって、必要以上の量を打ったり、成長因子をたくさん混ぜこんだりするのは危険があるということです!
PRPの効果は目に見えにくい?
自分の成分で自分の美容をさらに高める。
そのコンセプトをみると、「理想的な美容医療」と感じる方も多いはず。
ところがPRPの治療を受けた方の中には、ヒアルロン酸やボツリヌス注入薬など一般的なフィラー治療と比較して、不満を抱く人もいます。
代表的な不満は、「あまり効果がなかった」というもの。
PRPは手段や工程は違えどサーマクールなどと同じように、傷の治りを促進することで肌の底力をあげる創傷治療の一種ともいえます。
効果が出てくるのはゆっくりで、3カ月以上かかることもあります。
また顔全体のたるみをひきあげるといった強力なパワーもありません。
しかしながら、目元・口元という加齢が見られやすく、しかもよく動くので美容整形だと目立ちやすい、2大老け顔ポイントのエイジングケアを得意とし、確かな実績を積み上げているのは事実です。
また肌そのものをバージョンアップするので、効果が長持ちするのも嬉しいですね。
PRPは厚生労働省にも有用性が認められた再生医療です。
ただし、すぐに効果が出るタイプの治療ではなく、せっかちな人には向いていません。
あせってキレイになりたいのではなく、じっくりと自分と美容の関係を楽しめる人、そして体に余計なものを入れたくないという人にとっては、有効な美容医療のひとつといえるでしょう。
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