要注意、ボツリヌス治療の効果が出なくなる人がいる!?

要注意、ボツリヌス治療の効果が出なくなる人がいる!?

  • 美容整形
  • 更新日:2017年3月20日

もともと斜視や顔面けいれんなどの疾患の治療として研究されてきたボツリヌス注入薬ですが、美容医療の分野では注射だけでできる表情ジワの改善やエラに注射することで小顔を作るエラ縮小注射、さらにプチ整形などに使われる治療用の製剤として知られています。 ワキ汗の抑制美脚治療花粉症対策まで広がりを見せるボツリヌス注入薬ですが、製剤には数多くの種類が存在します。

ボツリヌス製剤の種類

ボツリヌスの製剤の中で、一番有名なのは言わずとしれた「ボツリヌス注入薬」(アラガン社)。精製・流通・ドクターへの技術指導など徹底した品質管理でブランドを確立してきたトップランナーですが、手間をかけている分コストも増大します。 「もっと安く受けたい」というユーザーのお財布事情から来るニーズによって同じような効能を持つ製剤が数多く生み出され、広まっていきました。
一方、価格面だけでなく、ボツリヌス注入薬の製剤開発の経緯には特殊な背景がありました。

ボツリヌス注入薬への「抗体」ができてしまう!?

実は、ボツリヌス注入薬の注射を受ける人が増える中で、一部の患者にある現象が起きてきたのです。

それは……なんと「注射を打っても効果がなくなる」
それまでは、普通に毎回ボツリヌス注入薬の治療を受けて満足していた人でも、ある時を境に突然まったくなんの効き目も起きなくなったりする。
特に、たくさん施術を受けているユーザーに起きやすい症状でした。

当然、お医者さんの間で「これはなんだ?」ということになりました。
製剤が効果を出さない方を研究してみると、体内にボツリヌス注入薬への抗体ができていたのです。

要注意、ボツリヌス治療の効果が出なくなる人がいる!?

要注意、ボツリヌス治療の効果が出なくなる人がいる!?

ボツリヌス注入薬の治療は少量の毒素を該当箇所に注射することで、筋肉や汗腺などの過剰な働きを抑制して効果を得るもの。
ところが人体がこの要素を、有害なものとして排除しようとして抗体を作る

こうなると、せっかく費用をかけて注射を受けてもなにも起きない。
体の方が危険な異物としてさっさと処理してしまうんですね。

ボツリヌス注入薬への抗体が作られにくい製剤の開発へ

ボツリヌス注入薬への抗体ができるメカニズムは完全に判明したわけではないのですが、調査によって製剤に含まれている複合タンパクが有力な因子として注視されることになりました。

もともと、アラガン社の「ボツリヌス注入薬」は純度の高い製剤のため抗体はできづらいのですが、昨今開発されたボツリヌス製剤の多くは、明確に「抗体ができにくい」ことに徹底したこだわりを見せて差別化しています。

要注意、ボツリヌス治療の効果が出なくなる人がいる!?
(アラガン社 HPより)


抗体ができにくいボツリヌス注入薬の代表格といえばドイツのメルツ社開発の「ゼオミン」でしょう。
ゼオミンは、開発当初からこの複合タンパクを除いたピュアなボツリヌス注入薬を作ることに心血を注いでおり、結果として現時点においてもっとも抗体が生じにくい製剤としてお医者さんの間で周知されています。

要注意、ボツリヌス治療の効果が出なくなる人がいる!? 高品質ピュアトキシン「ゼオミン」
(メルツ社 HPより)


一方、美容大国韓国ではニューロノックスでおなじみのメーカー・メディトックスは新世代ボツリヌス製剤「イノトックス」を発売しました。

これは製造過程で完全に動物性由来のタンパクを排除することで、抗体ができる可能性を極力減らした製剤で、業界初の液状タイプ(他は粉末を生理食塩水で溶いて使うので医師によってはムラが出る可能性がある)ということでも話題を呼んでいます。
この製剤に関するメディトックスの技術は世界的に認められて、アラガン社と400億のライセンス契約を結ぶなど、大きなニュースとして医療業界に波紋を広げました。

要注意、ボツリヌス治療の効果が出なくなる人がいる!? 液状型ボツリヌス製剤「イノトックス」
(メディトックス社 HPより)

ボツリヌス製剤選びは慎重に!

安いからといって複合タンパクを多く含む製剤を受けていると、ある日突然閾値を超えて、一切ボツリヌス注入薬の効果がなくなるということが起きる可能性があります。
そうなってから、あわてて純度の高い製剤に変えても二度と効くことはありません!

最近の治療ではプチ整形や美脚用など一回で多めの製剤を注射することも増えています。
美容医療と賢くつき合っていく上でも、どの製剤でボツリヌス治療を受けるのか、丁寧に吟味してくださいね。

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