成長因子が細胞に働きかけて組織の再生を促す「幹細胞上清液治療」

成長因子が細胞に働きかけて組織の再生を促す「幹細胞上清液治療」

  • 特集
  • 更新日:2023年9月21日

近年の医療で注目されているのが「幹細胞上清液」です。それは再生医療で使われる幹細胞を培養する際に生み出される上澄み液のこと。現在、健康や美容に必要なものが詰まった液体として、各界で「幹細胞上清液」への期待が高まっているのです。

再生医療における「幹細胞上清液」の役割

再生医療における「幹細胞上清液」の役割

もともと我々人間に備わっている自然治癒力を最大限に活かす治療が「再生医療」です。再生医療には幹細胞が用いられます。

※参考ページ
自身の細胞を使用して健やかさを取り戻す「幹細胞治療」

幹細胞を培養する際に生まれる副産物が、幹細胞培養上清液または上清液と呼ばれるもの。 幹細胞の培養液には大量の良質な成長因子(グロースファクター)サイトカインなどが染み出します。この液体から余計な不純物を除いた上澄み液が「上清液」です。幹細胞を取り出したあとのこの溶液、以前は幹細胞の培養増殖が完成すると医療廃棄物として処分されていました。実は、これこそが宝のような液体だったことが、最新の研究によりわかってきたのです。

幹細胞治療と幹細胞上清液治療の違い

幹細胞治療と幹細胞上清液治療の違い

幹細胞治療も幹細胞上清液治療も、細胞を修復したり再生したりする力を応用する点では同じ。でも決定的に違う点があります。幹細胞治療は患者自身の幹細胞から培養されるのに対し、幹細胞上清液は、他家(自分以外)の幹細胞を培養した際の上清液を使うということです。幹細胞上清液には幹細胞そのものは含まれていません。 幹細胞治療に比べ、幹細胞上清液治療は治療費が低く設定されており、また身体への負担が少なく、短時間で受けることが可能です。持続性は幹細胞治療に比べて短くなるので、基本的には複数回の投与が必要となります。

幹細胞上清液にはヒト由来の「脂肪幹細胞」「臍帯幹細胞」「歯髄幹細胞」「骨髄幹細胞」を培養した上澄み液が用いられます。幹細胞と同様、厳重に管理された培養施設で製造され、ウイルス検査をはじめ安全性も問題ない製品です。

幹細胞上清液治療の効果

点滴や注射などで体内に幹細胞上清液を注入します。体内に入った幹細胞上清液が組織や細胞に働きかけることで、美容効果・健康効果などが期待できます。

期待できる効果

●炎症に対する治療
 膝痛の症状緩和
 アトピー性皮膚炎による赤みの低下
 新型コロナ感染症による後遺症(味覚・嗅覚)の改善
 手術後の痛みの緩和 など

その他、以下のような効果も期待できます。
●薄毛・AGA・発毛効果
●ED、動脈硬化の改善
●さまざまな症状・障害の改善
 肝機能障害/腎機能障害/心血管障害/呼吸器障害/糖尿病の合併症/記憶障害/睡眠障害/
 慢性炎症/抗うつ/不安・認知症予防 など
●皮膚再生などの美容効果(シワやたるみ、肌質の改善)

老化やケガ、さまざまなに症状に伴う痛みや辛い症状に悩んでいた人にとって、福音となる治療法、それが再生医療、幹細胞上清液治療です。

治療の方法

点滴

【対応疾患】心血管障害 | 肝機能障害 | 呼吸器障害 | 腎機能障害 | 糖尿病の合併症

点滴などの溶液に培養上清液を入れて、静脈内にゆっくり投与します。培養上清液に含まれる多様なサイトカインが、体内の損傷している部位の細胞を活性化し、様々な老化現象を改善することが期待されます。
直接病気を治療するものではありませんが、障害環境の改善および障害細胞の代謝促進で、幅広い疾患の予防効果や疾患改善の補完療法です。

注射

【対応疾患】
膝関節への注射
 抗炎症作用 | 関節保護 | 痛みの改善

関節内の炎症沈静化および組織修復を促す効果が期待できます。

肌治療(顔や首への注射) 肌のキメ・ツヤの改善(美肌効果) | 小ジワの軽減(皮膚の再生) | 現状の維持(老化の予防)など

顔や首の気になる部位に直接注射して行います。小ジワの改善、肌のハリ・ツヤの改善に効果的です。
20か所くらい注射するので、痛みの不安があるかたは表面麻酔を併用することも可能です。副作用として内出血や腫れの可能性があります。

点鼻

【対応疾患】記憶力低下の改善 | 脳梗塞後の諸症状の改善 | パーキンソン病の補完

培養上清液の有効成分は、通常の点滴では脳内毛細血管の脳血液関門を通過する事ができません。脳に疾患がある場合や老化による機能低下がある場合には、点滴ではなく点鼻によって投与します。

吸入

【対応疾患】
脳神経系
 記憶障害 | 睡眠障害 | 集中力低下 | 不安・抑うつ | 慢性炎症
咽頭・呼吸器系 咳や痰 | 嗅覚障害、味覚障害 | 息切れ | 気管支の炎症 | 肺活量低下 | 肺気腫

肺や脳を対象にした治療の場合、肺と脳に直接有効活性成分を届けるネブライザーによる吸入法が効率的です。
老化による脳機能低下や肺機能低下の改善には最適な治療法と言えます。

幹細胞上清液治療の安全性や副作用について

安全性

培養増殖が完了した幹細胞を全て取り出した後、幹細胞培養液を遠心分離して不純物などを取り出し、ろ過、減菌などいくつかの処理工程を行って、ウイルス検査に合格した製品が出荷を認められます。
医療現場で使用されている幹細胞培養上清液は、厚生局から認可された培養施設で製造された、安全性の高い高品質な製品を使用するよう推奨されています。

副作用・リスク

ごくまれに、注射や点滴による穿刺部の痛み、内出血、神経障害などの副作用が見られることがあります。
アレルギー反応はほとんどないと言われていますが、これまでアレルギー反応を起こしたことがある方はクリニックに相談してください。

身体への負担をおさえて痛みや症状を改善

今まであきらめていた痛みや辛い症状も、幹細胞上清液治療なら改善できるかもしれません。
幹細胞上清液治療は手術や入院の必要はなく、外来治療で対応することが可能です。

クリニックでは現在、「脂肪幹細胞」「臍帯幹細胞」「歯髄幹細胞」「骨髄幹細胞」の4種類の幹細胞培養上清液を用いて治療を行っています。それぞれに含まれているサイトカインや成長因子の種類と量が違っているため、症状に合わせ使い分けて使用します。症状によっては2つの由来をブレンドすることもあります。

幹細胞上清液治療を受けたいと思った方は、クリニックのドクターにカウンセリングを受けてみてください。しっかりカウンセリングで施術内容を把握することが治療の成功に繋がります。

執筆者:alluxe編集部

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